Japan Association for Medical Informatics

[2-G-2-03] Real World Dataを用いた急性腎障害(AKI)からの回復期間に影響を及ぼす因子の探求

*Ikuse Orito1, Mana Shiotani1, Tatsuya Niijima1, Mariko Hiyama2, Shigehiro Yasui2, Yuki Hyohdoh2, Yutaka Hatakeyama2, Taro Horino3, Yoshio Terada3, Yoshiyasu Okuhara2 (1. 高知大学 医学部医学科 先端医療学コース, 2. 高知大学 医学部 附属医学情報センター, 3. 高知大学 医学部 内分泌代謝・腎臓内科)

AKI (Acute Kidney Injury), recovery period, Real World Data, Hyperuricemia, Hypouricemia

【背景】急性腎障害(AKI: Acute Kidney Injury)は急激な腎機能低下を呈する症候群で,発症すると腎予後・生命予後が不良となる。また,AKIからの回復にかかる期間が長いほど腎予後が悪化することが知られているため,AKIからの早期回復が重要である。【目的】既知のAKI発症リスク因子が,腎機能低下からの回復に要する期間にどのように影響を及ぼすか,Real World Dataを用いて調べる。【方法】高知大学医学部附属病院の病院情報システムに保存されている,1981年から2019年の間に初めてAKIを発症した患者のデータのうち,baseline eGFRが150以下で,発症後血清クレアチニン値及び発症前尿酸値を測定した患者のデータ(n=9102)を抽出した。AKI発症リスク因子である性別,年齢,AKIステージ,手術歴,糖尿病,がんなどを中心に説明変数とし,AKI発症後7日以内にベースラインまで回復するかどうかを目的変数としてロジスティック回帰分析を行った。【結果】短期間で回復するAKI発症リスク因子として“baseline eGFR60未満”,“輸液”,“造影剤”,“心臓手術”,“胸部手術”,“血管手術”,“高尿酸”が,回復に時間がかかるAKIの発症リスク因子として“年齢”,“AKIステージ2”,“AKIステージ3”,“がん”,“ループ利尿剤”,“その他の利尿剤”,“抗生剤”,“低尿酸”が挙げられた。【考察】AKI発症リスク因子の中には,短期間で回復するAKIの発症リスク因子と回復に時間がかかるAKIの発症リスク因子が混在していた。発症機序の異なる2種類のAKI,つまり脱水による一時的な急激な腎機能低下によるAKIと,腎臓へのダメージによる慢性的かつ重篤な腎機能低下によるAKIが混在していることが考えられ,予後の違いに影響する可能性があると示唆される。