Japan Association for Medical Informatics

[2-G-2-04] AKI発症のリスクとして術中バイタルは因子となるか

*Tatsuya Niijima1, Mana Shiotani1, Ikuse Orito1, Mariko Hiyama2, Shigehiro Yasui2, Yuki Hyohdoh2, Yutaka Hatakeyama2, Yoshiyasu Okuhara2 (1. 高知大学 医学部医学科 先端医療学コース, 2. 高知大学 医学部 附属医学情報センター)

AKI(Acute Kidney Injury), Intraoperative Pulse wave, Intraoperative Arterial pressure

【背景】急性腎障害(AKI;Acute Kidney Injury)は入院患者に多く見られ、数時間から数日という短期間で急激に腎機能が低下する病態であり、予後が悪いことが知られている。また、AKI発症リスクにつながる様々な因子が知られているが、特に手術の有無は大きく影響し、さらに術中平均動脈圧値の影響も知られているが、その他の術中バイタルの影響については良くわかっていない。そこで、術中バイタルで因子となるものは他にないか、RWD(Real World Data)を用いて探索することにした。【方法】 高知大学医学部付属病院における病院情報システムデータベースのうち、2019年と2020年の匿名化された入院患者のデータを対象にして、バイタルデータを計っている患者のうち、1時間以上の手術を行い、脈波数と平均動脈圧を測定している患者を抽出した後、入院中に対象手術を一回のみ行い、手術の前後2週間で血清クレアチニン値を共に測定している患者(n=1570)を対象にした。AKI患者と非AKI患者との差異を調べるために、この患者を対象として、手術した部位、薬剤(NSAID、利尿剤、造影剤、ACE阻害剤、ARB、抗生剤、抗がん剤)、年齢、性別、術前eGFR値、バイタルの値(平均動脈圧、脈波数)を説明変数としてロジスティック回帰分析を行った。(有意水準0.05) 【結果】 ロジスティック回帰分析を行ったところ、術前の低eGFR、心・脈管系の手術、尿路系・副腎の手術、平均動脈圧低値、脈波数高値がリスク因子として判定された。【考察】 これまでの先行研究で、AKIのリスク因子として手術や平均動脈圧の値が示されていたが、脈波数もリスク因子であることが示された。手術において脈波数にも注意を向けることで、AKI発症のリスクを低減させることにつながる可能性がある。