[2-G-2-06] 医薬品副作用データベースを利用した胃酸分泌抑制薬の安全性解析
proton pump inhibitor , potassium-competitive acid blocker, adverse drug reaction
【目的】胃酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor : PPI)は、消化性潰瘍や胃食道逆流症をはじめとする酸関連疾患の治療に幅広く用いられている.近年、カリウム競合型酸遮断薬(potassium-competitive acid blocker: P-CAB)が開発されたが、市販後の有害事象プロファイルに関する情報は十分ではない。そこで本研究では、大規模有害事象自発報告システムにあるデータベースを用いてPPIおよびP-CABによる有害事象について比較検討した。【方法】独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品副作用データベース(Japanese Adverse Drug Event Report database: JADER)を用いて、2004年の第1四半期から2016年の第4四半期までに登録されたPPIまたはP-CABによる有害事象を解析した。JADERから被疑薬に関する症例データを抽出し、PPIおよびP-CABにおける報告件数がそれぞれ上位10位までの有害事象について2x2の分割表を作成し、Reporting Odds Ratio (ROR)を算出した。さらにPPI全体と各薬物についても同様にRORを算出した。【結果・考察】上位に入っていたPPIによる有害事象は,顕微鏡的大腸炎,中毒性表皮壊死症,薬剤性発疹,多形滲出性紅斑であった. P-CABでは,出血性腸炎,肺炎であった.PPIのなかでも、ランソプラゾールと顕微鏡的大腸炎との関連が大であった。【結論】本研究により胃酸分泌抑制薬による有害事象の発現状況を確認した。本研究で得られた知見は胃酸分泌抑制薬の適正使用のための有用な情報になると考えられる。