一般社団法人 日本医療情報学会

[2-G-2-07] MID-NETを用いた間質性肺炎の検索精度に関する検討

*井上 隆輔1、中山 雅晴1,2 (1. 東北大学病院メディカルITセンター, 2. 東北大学大学院医学系研究科医学情報学分野)

Phenotyping, MID-NET, interstitial pneumonia

目的:医療情報データベースであるMID-NETを用いて、疫学研究の実施に適切な対象者の抽出が可能となるよう抽出条件を設定する。

方法:間質性肺炎(放射性肺炎を除く)を対象とし、初期条件では2018/12/7~2019/3/31に間質性肺炎に関連する病名(レセプト、DPCを含む)の開始日があり、KL-6またはSP-Dが上昇し、間質性肺炎に対する薬物治療を行っている患者とした。該当者は診療録を確認し、真のケース、疑われるケース、その他のケースに判定し、陽性的中度(PPV)を算出した。治療を必要としない間質性肺炎は、疑われるケースに分類された。本研究は本学医学系研究科倫理委員会により承認されている。

結果:初期条件により抽出された103例を調査した。真のケース49例、疑われるケース25例、その他のケース29例であった。PPVは47.6%、疑われるケースを真のケースとして扱うと71.8%であった。
疑われるケースでは、新規あるいは追加の治療を必要としない間質性肺炎が19例と多かった。その他のケースとなった例は、放射性肺炎が5例、細菌性肺炎等の肺炎が2例であった。
治療を必要としない間質性肺炎では、間質性肺炎を合併した悪性腫瘍で、化学療法のプロトコル内にステロイドが含まれている例が多く含まれていた。
当院の化学療法プロトコルに含まれるステロイドはすべてデキサメタゾン注射であった。一方、間質性肺炎の治療に使用されるステロイドは、プレドニゾロン等であり、デキサメタゾン注射は単独では用いられていなかった。化学療法に伴うデキサメタゾン使用例は、疑われるケースで9例、その他のケースで14例あり、対象外とすることとした。これにより、PPVは61.3%、疑われるケースを真のケースとして扱うと81.3%となった。

結論:初期条件では真のケースは半数程度であった。抽出条件の調整により、PPVの上昇が見込まれた。