一般社団法人 日本医療情報学会

[2-G-3-04] 健康増進に寄与する生体情報収集の仕組みづくりを目指して

*辻岡 和孝1、大西 秀典2、山村 修2 (1. 金城大学社会福祉学部社会福祉学科、2. 福井大学医学部地域医療推進講座)

HRA(Health Risk Appraisal)という、自身のライフスタイルから将来の生活習慣病のリスクを定量的に評価するシステムの構築に携わった経験がある。HRAは自身のライフスタイルを43種類のアンケートに答え、実際に生活習慣病に罹患した患者の生活習慣にどれだけ類似しているかを把握するものだ。HRAへの参加が健康への行動変容への動機付けとなることを期待して開発された。
 ただ、現代はアンケートに答えるという行動さえも、億劫になるほど慌ただしく過ごしているため、検診等の特別な機会を設けないと、健常者のライフスタイルの実態は把握できなかった時代が長く続いてきたように思う。
 近年、携帯端末を通じて、歩行数を日々管理することができるようになった。さらにウエアラブル端末を用いれば、心拍数や体温等も自動取得することも実現した。今後、HRAアンケートにある項目が、スマートフォンやウエアラブル端末に蓄積された情報から得られるようになれば、自動で自身の健康管理に役立てる事も実現するのではないだろうか。
 ただし、それらデバイスから情報を収集する際には、データ交換するためのプロトコルの確立が求められる。
 過去に、医療機器~HIS間の連携業務に携わってきた経験がある。その都度、本ワークショップの「問い」にある、標準化の問題を感じてきた。連携規格が独自仕様のために汎用性に乏しく、都度、インタフェースを開発しなくてはいけない点である。また通信プラットフォームに利点と欠点が存在するため、開発者はそれぞれの特性を踏まえ、開発期間やコストをかけ実現する必要がある。結果、実現したとしても、新しい機器が仕様変更した場合、連携機能自体の継続性が担保できるかといった問題も発生する。
 本ワークショップでは、過去に経験した事例を紹介し、課題点を共有することで、オープンなディスカッションが行えればと考えている。