一般社団法人 日本医療情報学会

[2-H-1-04] 医療機関における電波モニタリングの実証実験

*遠藤 哲夫1、石島 透1、小倉 環1、安形 司2、鈴木 祥仁2、半田 裕2、川邉 学3、加納 隆3 (1. 大成建設株式会社、2. 新城市民病院、3. 埼玉医科大学)

Radio wave monitoring, Medical device, Radio wave trouble

昨今、無線通信を活用したセンサーやIoTデバイスが日進月歩で進歩しており、医療現場で活用される機会が増えてきている。人・物・環境の状態といったこれまで可視化が難しかったものが、IoT技術の進歩によって、データを蓄積し、変化をとらえ業務の効率化や医療安全、患者サービスの向上に役立てることが期待できる。一方、モバイル端末や持込みWi-Fi等、様々な通信情報機器の使用により電波環境が複雑化しており、電波がつながらない、機器が正常に動作しないなどといった電波トラブルも増加しており、安全・安心に電波を利用するための管理が求められている。
 このような状況の下、「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」(総務省、電波環境協議会)や「医療機関における電波利用機器に配慮した建築ガイドライン・同解説-医用テレメータ編-」(日本建築学会シンポジウムでドラフト版公表)の整備など電波管理の手立てが検討されている。
 本稿では、医療機関における適切な電波管理をサポートする技術を提供することを目的に、医療施設内各所の電波環境を自動的に測定するとともに、遠隔でのモニタリングが可能なシステムについて報告する。 今回、新城市民病院の一般病棟(1フロア、34室、59床)の医療用台車に本モニタリングに用いる電波測定システムを約4週間設置し、各病室の無線LANの電波強度を長期間測定した。測定データはデータベースサーバに送信し電波環境に関する評価を遠隔で行う実証実験を行った。 その結果、長期間のモニタリングを行うことで、瞬時値ではなく定常的な電波状況を把握することができた。また、病院スタッフの通常業務の中で病棟全体の電波管理を行うための情報を自動で収集でき、これまでは、専門業者による現地での電波環境測定およびトラブルの対策を遠隔でサポートできる可能性を見出した。