一般社団法人 日本医療情報学会

[2-H-2-04] スマートフォン撮影による乳房US画像のAI診断

*森 龍太郎1、青木 光広1、矢野 弘章2、松永 敏明2、藤原 琢也2 (1. 岐阜大学医学部附属病院医療情報部, 2. 岐阜大学医学部附属病院経営企画課)

Breast US, AI diagnosis, Smartphone

【はじめに】画像認識はAIの得意分野であり画像診断AIの開発は活発に行われている。しかし、画像診断AIを電子カルテに実装するには機器の購入費用と開発費用がかかるため、現在まであまり普及はしていない。この問題を解決するため、今回、我々は乳房US画像をスマートフォンで撮影して診断するAIを検討してみた。【方法】AIの構築にはGeForce GTX1060を搭載したGPUマシンを使用し、乳房US画像の良性115枚、悪性201枚をフリーソフトlabelImgでラベリングして教師データを作成し、Object detectionのYOLOv3で機械学習を行った。構築した画像診断AIをスマートフォンから呼び出すために、Webに公開されたサーバー上に、GPUマシンへ画像を送信し予測結果を受け取るAPIを構築した。スマートフォンでAI診断を行うために、撮影した画像をこのAPIへ送信し予測結果を受け取って画面に表示するためのアプリをWebアプリとして開発し、動作の検証およびAIの精度検証を行った。【結果】構築した画像診断AIの精度は、悪性に対しては感度100%、特異度75%、良性に対しては感度95%、特異度90%で、GPUマシン上では1回の診断に0.2秒要した。スマートフォン撮影による診断は撮影距離に大きな影響をうけず、GPUマシン上での診断とほぼ同等の診断精度が得られ、1枚の診断に約2秒を要した。【考察】今回構築した乳房US画像診断AIの精度は良好で、スマートフォン撮影による実装でも良好な診断精度が得られた。画像診断AIのスマートフォンによる実装は、機器の購入費用や構築費用がかからないため、画像診断AIの普及に貢献すると思われた。