Japan Association for Medical Informatics

[2-H-2-05] ディープラーニングによる超低線量CT画像の高精細化

*Yasushi Hirano1, Kazuya Tokunaga2, Yoshie Kunihiro3, Munemasa Okada4, Haku Ishida5 (1. 山口大学医学部附属病院医療情報部, 2. 山口大学工学部知能情報工学科, 3. 山口大学医学部附属病院放射線科, 4. 関門医療センター放射線科 , 5. 山口大学大学院医学系研究科医療情報判断学講座)

Improvement of CT image quality, Ultra-low-dose CT, Deep Learning

1. 背景と目的
CT画像検査は,微小な病変を非侵襲的に画像化できることから,がんなどの早期発見に有用である.一方でX線の吸収線量を減少させることも重要であり, Sn(錫)フィルタを使用した超低線量CT撮影法が提案されているが,この撮影法でのCT画像は,画質が低下することが問題となる.そこで本研究では,ディープラーニングを用いて超低線量CT画像の高精細化を行うことを目的とした.

2. 手法
ディープラーニングの一種であるCycleGANをベースとした手法を用いた.CycleGANでは2種類の画像を相互に変換することができる.本研究では,学習データとして超低線量CT画像と通常撮影CT画像を与えて学習することにより,超低線量CT画像を通常撮影CT画像に変換するモデルを構築した.

3. 結果
超低線量CT画像を高精細化した画像と通常撮影CT画像に対して画質評価の尺度であるPSNR(Peak signal-to-noise ratio)およびSSIM(Structural similarity)(いずれも高いほど高評価)を計算したところ,それぞれ17.1±2.8および0.46±0.09であった.比較のために,超低線量CT画像をメディアンフィルタによってノイズ除去した画像と,通常撮影CT画像について同様に計算したところ,14.7±3.1と0.44±0.10であった.さらに,これらの結果について,対応のあるt検定を行ったところ,分布に有意差が認められた(p<0.05).

4. 考察・まとめ
本研究では,ディープラーニングを用いて超低線量CT画像を高精細化する手法を提案した.提案手法は一般的なノイズ除去処理手法よりも高い性能を有していることが認められた.一方で,2つの画像が全く同一であったときにはSSIMは1になるが,本研究では0.46となった.今後,SSIMの向上が課題である.