一般社団法人 日本医療情報学会

[2-I-1-01] ePath基盤を用いた臨床業務負担軽減のための統合解析

*山下 貴範1、若田 好史2、野原 康伸3、中熊 英貴4、岡田 美保子5、中島 直樹1、副島 秀久4 (1. 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター、2. 徳島大学病院病院情報センター、3. 熊本大学大学院先端科学研究部、4. 済生会熊本病院、5. 一般社団法人医療データ活用基盤整備機構)

医療業務の軽減には、医療の質低下を招く危険が潜む。データに基づき、医療の質確保のために必要な業務は確実に継続し、不必要な業務の削減や移行を検討すること、結果を再びデータで確認することが重要である。2018年度〜2020年度のAMED ePath事業では、電子カルテのデータを効率よく収集し、多施設のデータと統合し統合解析を行い医療の改善に役立てる仕組みを構築した。
電子カルテデータは医療リアルワールドデータと呼ばれ、診療のプロセス情報や重要情報を時間軸を追って把握できるため、業務効率化のための利活用も期待されているが、生データでの解析は困難であり、データの品質が大きく影響する。ePathでは、「Basic Outcome Masterの活用、OATユニットの開発、8疾患のひな型クリニカルパスの開発、電子カルテベンダーの異なる4施設でのひな型パス運用、パス・DPC・SS-MIX2(医薬品、検査結果、病名)を標準仕様で出力するリポジトリの構築・クラウド上の統合解析基盤の整備」など、クリニカルパスを中心にシステムやデータモデルの標準化を達成した。
そして多施設のデータを用いた各パスに対する機械学習による統合解析解析の結果から術後予後のリスク因子として考えられる患者状態を検討して、アウトカム設定の追加・削減によるパス改訂の提案と改訂後の再解析による評価や、ベンチマーク解析から医薬品利用の運用変更とその効果を確認した。医療の質改善と業務負担を目的とした医療行為を抽出し、データ解析とその臨床的評価からパス改訂によるLearning Health Systemを実施した。