一般社団法人 日本医療情報学会

[2-I-1-02] 「標準化クリニカルパスに基づく、医師行動識別センサや問診AIなどのICTを用いた医師の業務負担軽減手法に関する研究」—肺癌領域パス部門—

*末久 弘1、河村 進2、羽藤 慎二3、砂野 由紀4、山下 素弘5 (1. 四国がんセンター呼吸器外科、2. 四国がんセンター特命副院長、3. 四国がんセンター消化器外科、4. 四国がんセンター事務助手、5. 四国がんセンター副院長)

ePathプロジェクト(2018-2020年度、AMED)において、パス標準化事業を実施した。肺癌領域においては、胸腔鏡下肺葉切除術のパスのひな型を4つの病院間で作成・共有し、電子パス・カルテ/レセプトデータを可視化・統合解析した。その結果をもとに、パスの改定が可能であること、そして更なる精度の高いデータ収集も期待できることが示唆された。 今回の厚労科研では、ePathプロジェクトで得た知見・技術を用いて、医師の業務削減・タスクシフト/シェアを実施する。 肺癌領域パス部門では、ePathプロジェクトで共有したVATSパスを使用し、医師業務の優先順位を解析して、順位の低いものを看護師・臨床検査技師にタスクシフトする。2021年度は、4病院比較・統合解析により重要アウトカム(目的変数、在院日数、退院時ADLなど)に対するプロセス解析を行い、パス上の医師業務の重要度を算出する。OATユニットによるバリアンスを解析し、重要度の低いOATユニットで医師行動時間(自己申告)が長いタスクを抽出する。その結果を基に、VATSパスの改訂を行う。2022年度は、改訂VATSパスを4病院で共有・運用し、症例を集積する。目標症例数は1500症例とする。2023年度は、データ解析を行う。医療の質を落とさずに業務削減が出来たことの確認に加え、医療の質に関与しない医師および看護師業務を臨床検査技師へタスクシフト/シェアすることで業務負担の偏りを抑制出来たことを確認する。