[2-I-2-06] 日本皮膚科学会皮膚画像データベースNSDDの構築と活用
skin disease database, artificial inteligence, dermatology
肌の画像から肌の状態を判断し、治療をサポートする皮膚病人工知能(AI)は、医療関係者の目による肌の状態判断を補完するブリッジデバイスとして期待されている。画像AIの開発には、正しい診断情報を備えた多くの高品質の画像が必要である。皮膚疾患のAI開発には、皮膚科医によって正確に診断および蓄積された皮膚画像データベースを使用することが不可欠と考える。日本皮膚科学会(JDA)は、2018年からAMED助成金の支援を受けて全国皮膚病データベース(National Skin Disease Database, NSDD)の構築を開始した。2021年3月時点で、NSDDは皮膚科医が選択した50万枚の皮膚病画像と皮膚病理画像を収集し、日本初の大規模皮膚画像データベースを構築した。 NSDDは、100万枚の皮膚病画像を収集するために現在も拡大を続けている。 NSDDの一部は、国立情報学研究所との共同研究により、皮膚病AIの開発に使用された。蓄積された皮膚画像から、まず頻度が高く画像数の多い59の疾患を選択した。 59の疾患には、皮膚腫瘍、炎症性皮膚疾患、皮膚感染症などのさまざまな皮膚疾患が含まれ、その判別器の開発の難易度が高い。いくつかの工夫や画像選別をへて開発された皮膚疾患AIは、59の皮膚病を適切に分類し、トップ1診断で0.582の精度、トップ3診断で0.793の精度、トップ5診断で0.863の精度を得た。これらの結果は、NSDDが正確な皮膚病AIを開発するのに有用であることを証明した。