Japan Association for Medical Informatics

[2-P-1-01] コロナ禍における病院情報システム更新の経験とそこから見えてきた課題

*Takashi Ashihara1,2, Takayuki Enoue3, Shoichi Fujita3, Ryo Jito3, Yoshihiko Mizuta3, Yoshiaki Shoi3, Fumiyo Iwasa2,4, Yoshihisa Sugimoto1,2 (1. 滋賀医科大学 情報総合センター, 2. 滋賀医科大学 医療情報部, 3. 滋賀医科大学 クオリティマネジメント課 医療情報係, 4. 滋賀医科大学 看護部)

hospital information system update, coronavirus catastrophe, COVID-19

本学附属病院では,システム更新を2020年5月に予定していたが,COVID-19の影響で機器調達と人員確保が困難となったため,2021年5月まで延期した.それでもコロナ禍は続き,第4波ピークでのシステム更新となった.本発表では我々の経験を総括し,そこで見えた課題を紹介する.  機器調達と人員確保は1年延期で目処をつけられた.当院の医療情報部では,それまで密集していた職員デスクに十分な距離と十分な高さのパーティションを設け,出入口にはサーモグラフィーも置いた.全職員には独自アプリによる毎日の健康チェックと,黙食,個食,家族食を励行させた.体調不良者には本学職員か否かに関わらず,院内でPCR検査を実施し,ベンダーを含む人員を制御した.  システム更新中は,ベンダーにはシングル部屋に宿泊してもらい,会食は控えてもらった.院内には面会制限が敷かれ,病棟・ICUにはコロナ患者も入院していた状況で,毎日総勢100名ほどの非職員が院内を動き回っていたため,職員や入院患者の制御には様々な配慮が必要であった.レッドゾーンでは紙運用ができなかったため,特別にPC端末による代用を認めた.旧機器は後日回収とし,新機器の設定はリモートで行った.  果たして我々のシステム更新におけるCOVID-19対策が十分であったか疑問は残るが,結果として一度もクラスター感染なくシステム更新を終えることができた.ただ反省点としては,コロナ禍の影響もあり,システム更新の各種ワーキンググループ,コア部会,仕様策定委員会等のスペース確保やオンライン化に難渋したこと,ベンダーが作業・展開するスペースを十分に確保できなかったこと,レッドゾーンでのシステム更新が想定外であったこと,システム更新直後が最も三密になったこと等が挙げられる.こうした経験から得られた課題は,今後のシステム更新の進め方を見直す上で重要と考えられる.