Japan Association for Medical Informatics

[2-P-1-02] ブロックチェーン技術を用いた単一医療機関向け診療記録システムに記録された情報の表示方法の検討

*Yurika Miwa1, Yuichiro Gomi2 (1. 日本大学理工学部応用情報工学科, 2. 日本大学理工学部)

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ビッグデータ技術や人工知能の発展により,医療機関が保有する膨大な患者の医療データを適切な診断や新治療法発明などに役立てることが期待されている.膨大な医療データを管理し共有するためには,高いセキュリティ水準や,複雑なアクセス制御が可能なシステムが求められる.分散型台帳システムのブロックチェーンを用いることで,そのようなシステムを担保でき,導入や運用のコストと手間を減らすことができる.
 提案されているブロックチェーンを用いた診療記録システムの多くは,複数医療機関で利用する方式であり医療機関同士で事前に合意形成する必要があるため,利用する対象を全国と設定すると難しい.ただし,地域や関連病院および単一医療機関といった形で対象の範囲を狭めると導入も簡単となる.
 先行研究では,単一医療機関向けの診療記録システムにブロックチェーンを用いても問題ないことが分かった.また,複数サーバでのシステム稼働中にいずれかのサーバが停止し,停止状態から復旧した場合にデータを同期させるプログラムを実装し,正常に同期が行われることを確認できている.しかし,書き込まれた回数が増えると動作が遅くなることが問題とされ,システムに記録された内容に関して,書き込まれた内容を一時保存するファイル(memory_temp.txt)とブロックチェーンを記録するファイル(memory_chain.txt)の内容に差異が生じたことがあった.
 本研究では,記録された内容に差異が生じない方法を検討し,memory_temp.txtのみで表示する方法と,memory_temp.txtを使用せずmemory_chain.txtから復元して表示する方法について,システムへの記録と表示にかかった時間を計測し検証を行った.その結果,memory_temp.txtのみで表示する方法が全体的な処理時間を短縮できることが明らかになった.