Japan Association for Medical Informatics

[2-P-1-05] バイタル情報の自動取り込みを実現した床頭台システムの有用性

*Shoko Yasuda1, Taizo Kondo2, Tomomi Azuma3, Takanobu Sato4 (1. 岐阜県立多治見病院 システム管理担当, 2. 同 循環器内科, 3. 同 看護部, 4. 同 施設管理担当)

automatic vital signs collection, process improvement, clinical sensor network system

「背景」バイタルの発生源入力については、携帯端末、ノートP Cによるベッドサイド入力は普及しているが、入力作業を必要としていた。京大黒田らは、2016年にbluetoothによる使用者認証、N F C装備機器によるベッドサイドでのデータ取り込み送信により、看護師の検温業務での時間が28秒減少したと報告した。2017年にヴァイタスが、黒田らと共同開発し床頭台を利用したバイタル情報のデータ送信システムを開始した。 「方法」当院は、2019年6月に本システムを導入した。このシステムは無線LAN、有線LANが基本であったが、ネットワークの混雑状態を考慮し、当院は床頭台として初めてTV用の同軸ケーブルをLANに使用した。床頭台ディスプレー画面横にFELICA認証パネルを装備し、看護師認証はFELICA内蔵ネームカードをタッチすることで行った。 FELICA内蔵のテルモ社製血圧計、体温計、SpO2測定器、血糖測定器を使用し、測定後床頭台パネルに接触させることでデータ転送が速やかに行われる。 「結果」当院525床で、2020年4月から2021年3月までに床頭台から電子カルテに246,081回の測定値送信が行われた。測定毎に黒田らのデータを基に28秒業務時間が短縮できるとすると、年間1913時間短縮されたと推測された。看護師291名のアンケートでは、送信システムを使用しないと回答した看護師は11名(3.8%)であり、181名(62%)が毎回使用していると回答している。速やかな記録が可能となったとの回答は64%で得られている。 「考察」送信システムは、多くの看護師に受け入れられていて、検温業務の改善に役立っていた。同軸ケーブルLANは安定して機能した。稀にFELICAのタッチミスで送信データが送られていないという不具合が報告されている。今後、床頭台にデータを残して確認することで解決を図る予定である。