一般社団法人 日本医療情報学会

[2-P-5-04] ICU形態の変更に伴う患者管理・金銭的コスト・スタッフのメンタルヘルスに関する調査

*齊藤 健一1、平木 秀輔2、森 由希子1、黒田 知宏1 (1. 京都大学医学部付属病院 医療情報企画部, 2. 田附興風会 医学研究所 北野病院 医療情報部)

ICU, cost management, Hospital Information Systems

【はじめに】ICUは集中治療医の診療への参加度によって分類され、参加度が高いほど質の高い診療に寄与すると言われている。診療の質は評価が難しいものの、患者予後や、更にはスタッフの精神的健康にも影響する。あまり顧みられないが、患者予後の悪化やスタッフのメンタルヘルスの喪失は結果として金銭的コストにも関係し得る。この様なICUの強度と診療の質に関する研究は過去にも行われてきたが、病院ごとに環境が異なるため、集中治療医の参加度だけに焦点を絞った比較が適切にできているとは言い難い。今回、我々は同一の病院がICU形態の変化を経験する機会に立ち会うことができた。同環境においては、集中治療医の診療への参加度の変化が患者管理に及ぼす影響を純粋に評価しやすい可能性がある。そこで、病院情報システムから得た患者情報や、会計情報とアンケートを通じて、診療の質や精神的健康、金銭的コストにどのような変化があったか検討を行うこととした。 【対象・方法】8床のICUベッドを有する400床規模の某市中急性期病院が対象。年度更新時の集中治療医退職に伴いICUの管理主体が集中治療医から各診療科へ移った。同ICUにおいて、患者死亡率、再入院率、平均在室日数、人工呼吸期間、血液浄化療法利用率等の治療に関するデータと、血液製剤、薬剤、その他の診療材料などの各使用量等の保険点数に紐づく会計データを抽出し、両年度で比較する。また、両年度に勤務実績のある看護師に精神的健康に関するアンケート調査を行った。 【結果】アンケートに関しては両年度で有意な差はほとんどなかったものの、診療の質にかかわる一部項目において、集中治療医が在籍した方が良い結果であった。今後、患者管理やコストに関するデータ抽出・分析を行い、アンケートも交えて考察を行う予定である。