電子カルテが広く普及するにつれ、世界的にReal World Data(RWD) からのReal World Evidence (RWE)の導出に期待が膨らんでいる。たとえばRWDを利用して、今まで多くの時間や手間を掛けてランダム化比較試験(RCT)を行ってきたものが、手間を掛けずに実臨床のデータでRCTに置き換えることができるのではないか[MO1] 、できるとすると、どのような場合であるのか、多くの議論がなされている。また、臨床上の課題解決や医療の質を向上させる取り組みにもRWDを用いることが出来るのではないかとの期待もある。しかし、単に実臨床の電子カルテデータを集めてきただけではRWEとはならないこともわかってきている。国内には、すでにRWEに向けた様々な取り組みがあり、努力の積み重ねがある。まだまだRWEは先の話なのか、いややり方次第で手の届くところにあるのか、どのようなことに注意が必要なのか、この問題に先駆的に取り組んでいる方々から提言をお願いする。そして、日本でこれから多くの医療機関では、我々は新たなステージに入っていくのかどうか、今のままでよいのか、医療のデータを取り巻く今とこれからについて、リーダーとなる方々と共に現状とこれからの方向性を確認する機会としたい。

《演者》
1. 白鳥　義宗　　　名古屋大学附属病院
2．大津　敦　　　　国立がん研究センター東病院
3．中島　直樹　　　九州大学病院
4．松田　晋哉　　　産業医科大学
5．長島　公之　　　日本医師会
6．野村　由美子　　厚生労働省