[3-A-3-01] 医療・医学研究における「同意」は,法律家が伝統的に想定してきた「同意」から自立できるか?
これまで,医療・医学研究における患者または実験参加者の「同意」の意味,有効性を考えるために,医療関係者も法律家も,法律家が伝統的に想定してきた「同意」の意味と法的効果を基準として,議論してきた。
しかし,後者は,現在でこそ個人情報の利用など,ときには経済的な取引の範疇を超える文脈まで拡張されてきているとはいえ,もともとは,経済的な取引の文脈で発展してきたものと思われる。そこには,いちど同意されたことは,なるべく安定させる,という志向が見て取れる。
それに対して,前者は,患者・実験参加者らが,医師・医学研究者らから情報を得,自らも学び,決断し,あるいは,迷い,考え直したりする,動的なプロセスである。
患者・実験参加者らが継続的に情報を得,継続的に意思を発信できる dynamic consent の実装は,医療・医学研究の文脈にふさわしい「同意」の意味を,法律家が伝統的に想定してきた文脈から自立して,医師・医学研究者らが自律的に構築することを可能とするだろう。
しかし,後者は,現在でこそ個人情報の利用など,ときには経済的な取引の範疇を超える文脈まで拡張されてきているとはいえ,もともとは,経済的な取引の文脈で発展してきたものと思われる。そこには,いちど同意されたことは,なるべく安定させる,という志向が見て取れる。
それに対して,前者は,患者・実験参加者らが,医師・医学研究者らから情報を得,自らも学び,決断し,あるいは,迷い,考え直したりする,動的なプロセスである。
患者・実験参加者らが継続的に情報を得,継続的に意思を発信できる dynamic consent の実装は,医療・医学研究の文脈にふさわしい「同意」の意味を,法律家が伝統的に想定してきた文脈から自立して,医師・医学研究者らが自律的に構築することを可能とするだろう。