[3-A-3-02] Usefulness and Limitations of Dynamic Consent
Real World Dataを、例えばAIの学習データとして利用するなど取得時の目的以外に利用する要求が増えつつある。基本的には同意が必要な場合が多いが、臨床情報の場合、受診時の同意取得は様々な困難がある。そこでDynamic Consentと呼ばれるスマートフォン等を用いて、受診時以外にも同意取得可能なスキーマが提案され、一部は実際に使用されている。本研究では、主に診療情報を対象として「Dynamic Consent(以下DC)」を行う場合の手法と課題の検討を行った。診療情報を収集するタイミングでは、DCを行うこと自体への同意が必要になる。これを「DC活用同意」と呼ぶ。まずDC活用同意を取得し、その後DCを行う必要がある。さらに、DCにはopt-inで行うDCとopt-outで行うDCが存在する。これらの違いも考慮して、「DC活用同意+DC」のワークフローを作成し、検討を行った。「DC活用同意+ DC(opt-out)」では、商用利用における健康医療情報の2次利用は正当化されない。個人情報保護法では要配慮個人情報のopt-outによる第三者提供は禁止されているためである。したがって、「DC活用同意+ DC(opt-out)」による2次利用が可能になるのは学術研究の範囲であり、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」でopt-out同意が認められている範囲となる。同指針においても、opt-outが認められているのは限定的であり、DC活用同意を取得できる状況にあることを考慮すると、学術研究においてもDCはopt-inの活用が基本となると考えられる。またDC活用同意において個人に伝えるべき内容の整理、 DCを実施する際の本人確認方法等については、詳細な検討が必要である。またどのような説明内容とするべきか、について慎重な検討が必要である。その他DCに関してはいくつか注意深く検討すべきことがあり、発表では検討の上考察を加えたい。