一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-3-02] 効率的な病床運用を目指した看護管理者の取り組み

*福田 ゆかり1 (1. 鹿児島大学病院)

DPC (Diagnosis Procedure Combination), Hospital bed management, Nursing administrator

鹿児島大学病院(以下、当院)では、病院再開発に伴い病床数が一時的に減床となる中、病床利用の更なる効率化を目指し、入院患者数を維持しながら回転率を上げるための取り組みが必要となった。そこで、適正な入院期間での退院を推進するため、DPC入院期間Ⅱの終了日の退院を目指し、病院長のトップダウンのもと、医師は退院許可を指示するのみで退院日は看護師長が決定する等、病床マネジメントを担う看護管理者の権限が強化された。看護師長と事務部門との連携により、DPC入院期間に関するデータ、曜日別の入院患者数・稼働率の変化(土日の入退院促進)など様々な情報を活用し、多方面から病床運用に取り組んだ。同時に各診療科の実績に応じた病床配分が定期的に行われ、その上で空床は全て共通病床という考え方を浸透させ、空床管理の一元化を徹底した。
 また、病床運用の鍵となる退院支援の進捗については、退院支援専従看護師と病棟師長が連携し、タイムリーな情報共有を図った。患者の病状変化や治療方針が変更となった場合は、退院支援専従看護師と診療情報管理士が連携し、速やかにDPCコーディングを変更する体制を整えた。
 このように様々な方法を駆使して病床運用が進められるなか、全ての空床に隙間なく患者を受け入れるためには病棟看護師のスキルの向上も必要となった。不慣れな検査や治療に対応できるよう病棟間の交流勤務を行い、ケア方法や看護技術を修得する体制を構築した。その結果、現在では空床への患者受け入れに対する看護師の抵抗感はほとんど無く、どの診療科の患者であっても速やかに受け入れるという姿勢に変化している。さらに医師の負担軽減のため、看護業務の標準化を図った。例えばCVポート針の抜針等、全ての病棟で看護師が対応できるよう教育体制を整えているところである。ここでは、当院の病床運用に関する看護管理者の様々な取り組みとその効果について報告する。