一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-3-03] 生産性向上の取り組みにおける看護管理者の情報活用の課題

*田中 いずみ1 (1. 手稲渓仁会病院 )

Productivity, Task shift/ share, Collaboration

医師の働き方改革は、病院経営に直結する大きな課題であり、そのためどの施設においてもタスクシフト/シェアを念頭に置き業務改善を進めている。生産性はインプットとアウプットの割合で示される。生産性を向上することには誰も異議を唱えないが、医療の業務フローは様々な部門が絡み合うシステムから成り立っており、加えて職種における価値観や個人の仕事への流儀があり、実際の現場ではそう簡単に生産性は向上しない。そもそも、どれだけの資源を投入(インプット)しているかのデータがない場合や、アウトプットの指標もそれぞれの立場で違うことも多い。
当院の看護部では、医師の働き方改革によらず、数年前より看護の提供する時間の確保のためと看護師の労務管理を看護師の生産性の向上に努めてきた。今回はその試行錯誤の取り組みの中から、看護管理者として考えている情報を活用する上での課題を述べる。一つ目の課題は、組織として意義ある取り組みになるように改善を試みるチームが病院全体を俯瞰できる情報を共有する事である。2つめは、生産性向上のために取り組んでいるチームで目標値をしっかり持つことである。職種や部署が違うと生産性の向上と言いながらも、目指しているものが案外違うこともある。最後の課題は、取り組みをしただけで満足していることが多いため、取り組みの評価をすることである。
誰かにしわ寄せがくるタスクシフト/シェア(改善活動)では真の生産性の向上にはつながらなく、また続かない。経営的に、また職員にとっても、そして何より患者にとってよい結果をもたらすトリプルWINを目指したい。そのためには、あらゆる角度で検討できる情報が必要で、それをタイムリーに使える様になってこそ実現できると考える。