Japan Association for Medical Informatics

[3-B-3-04] 看護のコア業務への絞り込みと連携による経営改革
~連携のための情報共有はICTを利用して効率的に~

*Masayuki Chikamori1 (1. Chikamori Hospital)

regional medical cooperation, ward cooperation, cooperative multidisciplinary care, quality of nursing, labor productivity of nursing

近森病院は急性期病棟418床、地域包括ケア病棟34床、総合心療センター60床の512床の急性期病院で、救命救急センター、地域医療支援病院、災害拠点病院、管理型臨床研修病院である。
近森病院はマネジメントで「機能の絞り込み」と「連携」を行い、医療の質と労働生産性を高め、患者数を増やし単価を上げることで売り上げを増やし、将来の利益を生み出す設備投資、人件費アップの原資としてきた。
「地域医療連携」では初診は救急、紹介患者、再診はキャッチボール外来を行うことで、外来単価の高い患者に絞り込んできた。初診患者数はこの20年間に月2,500人から500人に減少し、外来診療の負担は激減し、単価のより高いER、紹介、専門外来、入院、手術へ看護資源をシフトしてきた。外来ではクラークや秘書に診療介助を委譲し、看護師はより専門性の高い業務に絞り込んでいる。
重症病棟では看護のマネジメントで毎月1億~1.4億円の集中治療部の加算を生み出している。そのためには、重症病棟と一般病棟、地域包括ケア病棟のスムーズな「病棟連携」が必須であり、病床管理師長と病床コントロールナースを中心に2014年から重症病棟の患者一覧パネル、及び一般病棟の入院患者一覧を電子カルテ上に表示し、可視化することで情報を共有している。
「チーム医療」では多職種を病棟に配置し、病棟常駐型チーム医療を2003年から実践している。看護師の業務を標準化出来る定型業務は多職種に委譲することで看護のコア業務に絞り込み、労働環境を改善し、高度の医師業務の委譲を受け、看護の質と労働生産性を高めている。
診療報酬改定では、近年、重症度、医療・看護必要度の強化が進められているが、電子カルテのログイン画面に重症度Ⅱ及び平均在院日数、稼働率の推移をグラフ化し可視化することで、病院全体で在院日数を短縮し、延べ入院患者数(稼働率)のアップではなく新規入院患者数及び入院単価のアップで増収、増益を計っている。