一般社団法人 日本医療情報学会

[3-C-1-01] 医療情報の利活用促進に係わる制度整備の動向

*山本 隆一1 (1. 一般財団法人医療情報システム開発センター)

Medical Information Basic Act, Real World Data, Consent

個人情報保護法制の2015年改正によって、要配慮情報に指定された医療情報の利活用は抑制的になったが、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(次世代医療基盤法)によって条件付きではあるが、オプトアウトによる利活用の道が開かれ、まだ施行前ではあるが、令和2年個情法改正では仮名加工情法の概念が導入され、同じく施行前ではあるが、令和3年改正では医療介護情報の扱いに関して、および学術研究分野の扱いが公的機関と民間機関の取扱の統一が図られようとしている。いわゆる2000個問題への対応である。また令和3年には次世代医療基盤法のガイドラインの改定も行われた。令和2年の個情法改正は個情法自体に規定されている3年毎の見直しによるものであり、令和3年の個情法改正やいわゆるデジタル庁発足に伴うデジタル社会形成を図るための関連法規整備の一環として行われるなど、一見、様々な動機で始まった動きであり、個情法など未施行の法律がさらに改正され、時期がずれて施行される可能性が高く、情報を扱う現場は注意深く対応する必要がある。また利活用促進の動きが主体ではあるが、個人情報を不当に扱って良いわかではなく、むしろ社会の関心は高くなっており、確実な個人情報に係わる権利侵害の防止が必要であり、また安全管理も厳しく求められると考えるべきであろう。発表では制度変遷の概略を明らかにするとともに、本シンポジウムの主題である安全性を確保した上での利活用促進の技術的ソリューションの重要性を明らかにしたい。