Japan Association for Medical Informatics

[3-C-2-01] 電子カルテのチーム医療機能を利用した「中止薬管理システム」の構築による、抗血栓薬の再開漏れ防止の試み

*Kentaro Motoyama1, Tomohiko Takeno2, Isao Matsuura3, Hirofumi Haraga3, Fumiko Sato4,5, Rieko Fujinaga2, Eishi Nagai1,5, Yuji Nakafusa1 (1. 福岡赤十字病院 外科, 2. 薬剤部, 3. 情報システム課, 4. 看護部, 5. 医療安全推進室)

antithrombotic drug, surgical operation, medical safety

【背景】手術予定患者の術前準備として抗血栓薬等の中止は重要である。当院では外来で薬剤師による「手術前常用薬確認」が実施され中止漏れによる手術延期は減少した。しかし、最近は周術期に中止された抗血栓薬の再開漏れによる脳梗塞などの発症が問題となり、医療安全上の対策が必要と考えた。【目的】周術期に中止した薬剤(特に抗血栓薬)の再開を確実に行うためのシステムを構築する。【方法】まず原因の検討を行なった。(1)術前は多職種による中止薬チェックが行われるが、術後再開は担当医以外のチェック機構が無い。(2)入院時にはすでに抗血栓薬などは中止されており、入院後に初めて関わるスタッフは気付く事が困難である。(3)抗血栓薬の術後再開のタイミングはルール化が難しい。(4)外来で再開する場合もあり担当医が代わると気付かない恐れがある。上記の原因から、「常用薬が中止されている情報」が初診時から退院後外来まで、継続して簡単にかつ確実に関係者が把握できる仕組みが重要と考えた。当院の電子カルテ(MegaOak/iS)のチーム医療機能では多職種連携が可能であり、この機能を利用して「中止薬管理システム」を構築した。  具体的には以下の手順となる。(1)外来にて担当医が中止薬説明書・同意書を発行すると自動的に「中止薬管理患者一覧」に登録されリストアップされる。(2)入院患者一覧画面では「薬」マークが付き、誰でも簡単に中止薬があることが確認できる。(3)手術後に「薬」マークが継続している場合は看護師、薬剤師から担当医に再開時期を確認する。(4)退院後も未再開の患者は「中止薬管理患者一覧」に残るため、薬剤師が担当医に知らせて再開漏れを防止可能。 【結果と考察】2020年10月より外科系定期手術の患者から利用開始した。その後の中止薬の再開漏れは確認されていない。簡単かつ継続的に多職種による確認可能なシステム構築が有用である。