Japan Association for Medical Informatics

[3-D-1-01] システムダイナミクスを用いた新型コロナウィルス感染症の伝播予測 -高齢者率の変化による感染伝播の予測-

*ryuki kita1, ryuichirou ueda1, yasuhiro morii1, katsuhiko ogasawara1 (1. 北海道大学大学院保健科学研究院)

system dynamics, covid-19, Mean Square Error

【背景と目的】新型コロナウイルス感染症における陽性者数の予測に感染症伝播の数理モデルが使用される。従前の数理モデルでは、新たな情報を組み込むのが困難という課題があった。近年、モデルに新たな情報を柔軟に追加してシミュレーション可能なシステムダイナミクスが注目されている。本研究では、高齢者率の高い地域での感染伝播を予測するため、数理モデルに死亡率を追加情報として組み込み、システムダイナミクスを用いた新型コロナウイルス感染症の感染拡大の伝播予測を行うことにより、人工に対する高齢者の割合がどのように感染伝播に影響するか検証した。【方法】人口5万人の仮想地域において、高齢者率を38、28、18%に変化させ、新型コロナウイルス感染者1名が発生した瞬間から365日間のシミュレーションを行い、高齢者の割合の違いによる累計感染者数の変化を推計した。本研究ではシミュレートソフトVensim PLEを用いた。Mean Square Error (MSE)を用いて死亡率の関係から構築したモデルの妥当性を評価した【結果】累計感染者はそれぞれ39,157人(38%)、39,378人(28%)、39,594人(18%)であった。また感染ピーク時の感染者数はそれぞれ4,760人(38%)、4,859人(28%)、4,960人(18%)であった。モデルの妥当性を示すMSEは0.32であった。【結論】本研究の結果は、高齢者率が高い地域では高齢者率が低い地域に比べで累計での死亡者数が多いため、感染者との接触機会が減ることで累計の感染者数が減少し、感染のピークを迎えた時点での新規感染者が減少することを示している。一方、新型コロナウイルスの感染伝播に関する情報は依然として不確定な要素が含まれており、システムダイナミクスにおいて詳細な情報が追加されることによって、より妥当性の高い感染伝播モデルとなることが期待される。