一般社団法人 日本医療情報学会

[3-D-1-04] 三大生活習慣病患者の急性循環器疾患の発症予測の可能性の検討

*栗原 幸男1、兵頭 勇己2 (1. 高知大学教育研究部医療学系, 2. 高知大学医学部附属医学情報センター)

Lifestyle-related Disease, Acute Cardio- and Cerebrovascular Disease, Onset Prediction, Retrospective Study

中高齢者で代表的な生活習慣病である糖尿病、高血圧症、高脂血症の1つまた複数を罹患している患者は、脳卒中や心筋梗塞等の急性循環器疾患を発症するリスクが高いことはよく知られているが、発症予測は難しいとされている。今回高齢者医療の向上に向けた取組として、この困難な予測を生活習慣病の進行に伴い発症する合併症との関連で予測を高める可能性がないか検討した。検討方法としては、高知大学病院の病院情報システムIMISに蓄積されたデータの匿名化データ用いて、三大生活習慣病のどれかに罹患している患者で急性脳血管疾患または虚血性心疾患を発症した者を抽出し、生活習慣病からの合併症の有無、生活習慣病診断から急性循環器疾患診断までの日数を調査した。用いたデータは1991年から2010年までの20年間のデータである。高知大学病院は3次救急医療機関であるため、狭心症、脳梗塞および急性循環器疾患の後遺症の診断は一定数あったが、急性循環器疾患の診断数は多くなく、その点での不確実さはあるが、概ね妥当な結果を得た。抗がん剤治療を受けておらず、2年以上の受診歴のある50歳以上の三大生活習慣病の患者は13,147人であった。生活習慣病診断から5年以内に急性・亜急性の循環器疾患診断あったものが3,286人、その発症までに生活習慣病の進行に伴う合併症があった患者が206人、循環器疾患診断と合併症の診断が同日日であった患者が253人であった。生活習慣病の進行に伴う合併症の診断日から循環器疾患診断日までの方が約3ヶ月短かった。この結果から、三大生活習慣病の進行だけを見ていては急性循環器疾患を発症予測することはかなり難しいことが推察された。