Japan Association for Medical Informatics

[3-D-1-06] 重症心身障害児者の表情筋の動きによるストレス指標モデルの妥当性の検証

*Emiko Yokozeki1, Yuri Ikemoto2, Yasuteru Hosokawa2, Kikue Kida1, Kohji Yamamoto2 (1. 四国大学看護学部看護学科, 2. 四国大学経営情報学部メディア情報学科)

Children with SMID, Muscles of facial expression, Stress

近年,医療機器や技術は飛躍的な進歩を遂げ,ヘルスケアの市場規模も急激に拡大している.その結果,私たちの日常生活場面での様々な健康・生体情報が可視化されるようになってきたが,その情報の利活用は,まだ,特定の分野に限られている.現在,注目されている「Society 5.0」では年齢や障害に依らない社会を目指して,分野横断的に知識や情報が共有される新たな価値を生み出すことが期待されている.筆者らは言葉や身体を使っての意思表示が難しく,表情の変化も乏しい重症心身障害児者(以下,重症児者)の「快・不快」の状態をお知らせするシステムの開発に取り組んでいる.人の感情を読み取る際,表情やしぐさは言葉以上に重要となることがしばしばあるが,重症児者は,それらの反応が微細であり,養育介護する家族や専門職者も理解できないことが多い.そこで,筆者らは,重症児者のストレスを示す表情筋の動きを重回帰分析により指標となる特徴量を抽出した.今回は,筆者らが確立した表情筋の動きによるストレス指標モデルを,機械学習機能を備えた予測分析ソフトに適用し,その妥当性を検証した. 収集したデータの種類は,心拍数と表情筋の変化とし,心拍数をストレスの指標とした場合(分析1)と,家族や専門職者の見解を参考にストレスを有・無の2値分類した場合(分析2)について,Sony製AI分析ツール「Prediction One」を適用した. その結果、筆者らが確立した重症児者の表情筋の動きに着目したストレス指標モデルが正しいことを追認することができた.筆者らは現在,オープンソースのフレームワークを用いた表情筋変化の時系列分析をすることで,ストレスを自動検知するシステムの開発を行っているが,本研究により,その方向性が妥当であることを検証できた.