一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-2-02] 電子化時代を迎えた添付文書

*山本 史1 (1. 厚生労働省大臣官房審議官(医薬担当))

添付文書は、医薬品の使用上の注意や用法・用量、服用した際の効能・効果、副作用などを記載した、最も基本となる重要な文書であり、これまで文字どおり、製品たる医薬品に添付(同梱)され、医薬品と一体となって流通し、医療の現場まで届けられてきた。こうした、我々がこれまでながらく馴染んできた薬の情報に関わる現実の風景が大きく変わる。医薬品の添付文書の電子化が、本年(2021年)8月に施行を迎える。紙媒体である添付文書を製品に同梱する従来の方式から、添付文書に記載されてきた「注意事項等情報」を電子化するとともに製品のパッケージ等にバーコードを表示することでインターネット等を活用して情報を閲覧する方式に移行する。
今回の制度改正の趣旨は、医療の現場に最新の添付文書の情報を提供できるようにすることにある。また、添付文書の情報は、最新の科学的知見に基づいたものであることはこれまでと変わらず求められる。新しい知見が得られる都度、添付文書は改定され医療現場に速やかに発信されるべきである。この機会に、今回の電子化の趣旨、さらには、添付文書の果たす本来の役割を改めて認識いただき、新しい制度が、使いやすい、より良いものとなって医療の現場に浸透していくようご協力いただきたい。これからの時代の添付文書(注意事項等情報)が医療の現場で患者お一人おひとりに提供される薬物療法のリスク・ベネフィットのバランスを最適化するための、さらには患者と交わすリスクコミュニケーションのための最も基本となる情報として一層進化・充実していくことを願っている。