Japan Association for Medical Informatics

[3-E-3-01] 電子処方箋の運用開始に向けて

*Takeru Ito1 (1. Director, Pharmaceutical Safety and Environmental Health Bureau, Ministry of Health, Labour and Welfare)

electronic prescription, digital health reform, digital transformation, medical information

厚生労働省では、電子処方箋管理サービスを、2022年度に全国的な仕組みとして運用を開始できるよう、システム内容等について議論を進めている。 電子処方箋管理サービスはオンライン資格確認等システムを基盤とするため、社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険中央会を運営主体とし、医療機関・薬局間の電子処方箋のやりとりの仲介や、薬局からの調剤情報の保存・管理、患者への情報提供を行う。医療機関は電子カルテ等で電子処方箋を作成し管理サービスに送信する。薬剤師が処方箋を取り込んで調剤を行い、調剤情報を管理サービスに登録する。リアルタイムの処方・調剤情報の共有を行い、重複投薬情報も確認可能となる。患者がマイナポータル等で自身の処方・調剤情報を閲覧することも可能となる。 電子処方箋の導入によるメリットとしては主に以下の3点が挙げられる。1点目は、紙の処方箋が無くなることで、処方箋の原本を薬局が電子的に受け取ることが出来るようになり、印刷コストの削減につながる。2点目は、処方内容を電子化することで、薬局から医療機関への疑義照会を反映した調剤結果等の伝達および医療機関におけるシステムへの反映が容易になる。3点目は、電子化した処方・調剤情報を共有することで、医療機関と薬局の情報共有が進み、患者にとってより適切な薬学的管理が可能になるとともに、実効性のある重複投薬防止等が可能となる。  電子処方箋管理サービス導入により、処方・調剤情報の見える化が進んでいけば、薬剤師が必要な情報を入手し、より質の高い服薬指導を実施することが可能となるであろう。電子処方箋管理サービスが十分機能してメリットを享受出来るようにするためには、多くの医療機関や薬局が参加することが必要であり、そのための導入支援も重要である。