Japan Association for Medical Informatics

[3-E-3-04] 薬剤部門システムが調剤ロボットや服薬リアルを通じて薬剤師をDXする未来

*Kazuaki Mori1 (1. YUYAMA CO., LTD. / JAPAN PHARMACEUTICAL EQUIPMENT & MACHINERY ASSOCIATION)

dispensing robot, RPA, DX, medication real, future pharmacist

世界最速で進捗している日本の超高齢社会。その意味するところは全疾患に占める慢性疾患の比率増であり、同時に全医療費に占める薬物療法の比率増であることは論を待たないだろう。そこから国が定めるべき戦略にはいくつかの方向性が考え得るが、そのひとつに「臨床家」としての薬剤師への期待が挙げられる。なぜなら、薬物療法におけるキーパーソンであり、薬物療法自体の臨床及び経済的アウトカムに大きな影響力を行使できる専門知識を有しているからである。その薬剤師が日常業務で行う「調剤」の領域にはいま調剤機器・ロボットが供給され、さらに進化し続けている。調剤機器・ロボットの進化は、対人業務という名のもと薬剤師を臨床家として活躍させるための時間の拡張を担保する。一方で薬剤部門システムは、従前のように調剤機器・ロボットを一連の処方データに基づいて制御することはもちろんのこと、対人業務時間を徐々に多く割けるようになった「臨床家」としての薬剤師の対人業務自体のサポートもし始めている。こうした時代背景と技術の進展のランデヴーは、調剤機器・ロボットや薬剤部門システムをRPA的代替から、少しずつDX的なポジションへと舵を切らせていくことが予想される。それと同時に、これまでシステム的に上位に位置していた医療情報システムから一方通行で指示やデータを受けていた薬剤部門システムは、今後、調剤機器や患者の生活というリアルも巻き込みながら、現場発ならではのデータを医療情報システムにアップしていくだろうことを予測する。
 患者への至適な薬物療法の実現という大義名分を寸分も揺らがせることなく、調剤機器・ロボットと薬剤部門システムの進化を夢想・構想し、具現化していくことが、この国の超高齢社会への対応戦略を下支えすることに繋がるのではないかと考えている。