一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-3-05] DX時代の薬剤師に求められるAIリテラシー

*佐藤 弘康1 (1. JA北海道厚生連 帯広厚生病院 薬剤部)

Artificial Intelligence, Pharmaceutical Service, Machine Learning, Voice-interactive AI

現在、多くの産業においてデジタルトランスフォーメーション(DX)が起きており、保健医療分野も例外ではない。DXの大きな1要因として、人工知能Artificial Intelligence (AI)の活用が挙げられ、医学研究および臨床においても多くの活用事例が報告され始めている。この波は、間違いなく医薬品業界および臨床薬剤師業務の領域にも訪れる。すでに臨床薬剤師業務においても、処方監査支援システムや調剤ロボット、薬剤管理指導記録の入力など、あらゆる業務にICTが活用され、今後それらへのAIの導入が期待される。 演者らは、臨床薬剤師業務へのAIの応用に関する研究をおこなっており、本発表ではそのうちのいくつかを紹介する。

処方監査は、医療安全上、重要な薬剤師業務の1つであり、ヒューマンエラーの防止のため近年では多くの施設でシステムによる処方監査機能が導入されている。現行ほとんどのシステムによる用量チェックは単純な仕様であり、複数の要因を考慮した患者ごとの用量の適正性判定は実現できていない。今後は、AI等の導入により、より複雑な用量適正性のチェックが可能になると考えられる。

また、音声対話型AIによる問題解決も臨床薬剤師業務への進出が見込まれる。これまでPCの前でキーボードやマウスを操作しなければ解決できなかった問題が、音声によりいつでもどこでも解決可能となることは、まさしく臨床薬剤師業務にDXをもたらすものと考えられる。

AIには可塑性、責任性、説明可能性等、これまでの情報システムにはない特徴があり、臨床薬剤師業務において、どのような業務へAIを用いるべきであるのか、どのような限界点があるのか、得られた結果をどのように判断するか、結果に対する責任を誰が負うのか等、今後、薬剤師にもAIリテラシーを向上していくことが求められる。