Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-01] 聴診教育支援を目指した感圧センサーデータの特徴量分析

*Chihiro Takada1, Yuki Kodera1, Yuya Takahashi1, Kunimasa Yagi2, Mikifumi Shikida1 (1. 高知工科大学, 2. 富山大学)

Stethoscope, Auscultation, Physical examination, Practical training, Pressure sensor

心音聴診の指導では心音を聞き分けるスキルの修得を目指すが,正しく聴診器を扱えることはその前提である.しかしながら,聴診器の扱い方を含めた心音聴診の指導・評価には指導医の臨床経験や力量を要する部分が大きく,客観的な指導・評価は困難であった.例えば,共用試験OSCE資料では,聴診の学習・評価項目について,「しっかり押しつけて聴診する」,「かろうじて覆う程度に軽く圧着」などの曖昧な表現が使用されている.また,臨床実習に共通する問題として,実習期間の不足や指導教員の負担の大きさ等が挙げられてきた.以上を踏まえ,聴診実習における効率的かつ効果的な実習・評価方法の実現のため,定量化された指標の確立が望ましいものと考えられた.本研究では,聴診時の圧力値の計測を通しての,指導・評価に有効な特徴量の提案を目指す.
 本研究では,聴診時に聴診器の膜型部分にかかる圧力値を計測・分析し,熟達者と初学者を比較することで指導・評価に有効な特徴量を提案する.計測対象者は熟達者として臨床医1名,初学者として医学生複数名とする.また患者役には心音シミュレータ(京都科学社製イチローⅡ)を使用する.
 圧力値の計測・分析の結果,次の聴診に移るまでの時間間隔,聴診器を当てている間の圧力値の安定度,聴診終了時の減圧速度などの特徴量について,臨床医と医学生間で有意差が確認された.これらの結果から,圧力値から検出された特徴量は聴診スキルの熟達度の指標として活用可能と考えられた.この特徴量を聴診スキルの熟達度の指標とし,指導医に提示することで,公平な指導・評価実現の支援ができると考える.また,この指標を学生にも提示することで自習が可能になり,その際に取得されたデータを指導医が閲覧することでその学生を次に指導する時に活かし指導効率の向上に寄与し,結果として指導機会の増加と指導教員の負担軽減につながるものと期待された.