Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-06] がん登録実務者育成のための院内がん登録教材作成と情報分析・評価を目的としたがん登録システムの開発

*Chieko Sakamoto1, Hinako Toyama2 (1. 国際医療福祉大学, 2. 医療データサイエンス研究所)

Cancer registrars, Cancer registry teaching materials, Data analysis

【背景】 「がん登録等の推進に関する法律 」の施行により、がん登録実務者は資格認定後も更新試験に合格することが義務付けられた。登録データの精度は高くなってきているが、自院のがん情報を分析・評価できている施設はまだ多いとはいえない。
【目的】がん登録実務者育成のため、登録用教材作成と登録情報を利用して分析手法や分析結果の評価を学ぶためのがん登録システムを開発する。
【方法】演習用教材は、大学院開発の教材DBに作成した模擬カルテから院内がん登録に必要な情報を集約したサマリを利用した。がん登録システムはFileMakerで開発し、模擬患者のがん登録を行う演習用と協力病院提供の院内がん登録データで統計・分析を演習する2つのDBを構築した。
【結果】登録演習後の答え合わせから学生が迷いやすい項目を把握し、改訂版サマリを作成して教材にバリエーションを加えた。演習用システムは、項目を正確に登録できるようプルダウン方式や部分一致検索等を取り入れ、ワンクリックで定義や解釈を参照可能にした。分析用システムは協力病院の3年分のデータを取込み、患者単位、腫瘍単位各々の一覧表を作成した。その他、組織別、局在別、追跡期間等の項目で検索・抽出可能にした。これらの抽出データを統計分析ソフトで分析するため、エクスポート用フォーマットを整備した。
【考察】学生は教材のがん情報を読込みながら実務に近い登録演習ができ、理解度を把握できる。統計・分析システムでは、分析手法と解釈を学ぶことができる。模擬カルテとサマリを備えた電子教材と本登録システムを用いて、がん疾患の理解を深めながら登録技術を修得し、データ分析まで学ぶことができるので、実務者育成の教育ツールとして役立つと考える。
【結語】精度の高いがん登録に加え、登録情報を分析・評価できるがん登録実務者育成を目的に、教材と登録システムを開発した。教育ツールとして役立てていく。