Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-07] 小学生向け認知症サポーター養成講座における人型ロボット活用の効果

*Seiko Masuda Masuda1, Koji Mikami1, Toshiaki Takada1, Naoki Taira1, Yukie Majima1 (1. 大阪府立大学)

Elementary School Student, Dementia, Humanoid Robot

目的:日本では,認知症者の増加に伴い多くの小学校で認知症者と家族を手助けする認知症サポーターの養成講座(以下,講座)を開催している.認知症者の尊厳を保つ手助けを学ぶためには,寸劇など体験学習が効果的であるが,コロナ禍では体験型学習は難しい.本研究では人型ロボットに複数の役割を持たせ,小学生が認知症者への対応を学ぶ効果を検討した.方法:本研究では,PepperとRoBoHoNの音声認識と会話機能を用いた.Pepperは講義のチューター役,寸劇やグループ発表で昔飼っていた猫を探す認知症者役,RoBoHoNは寸劇での小学生役を演じた.小学5年生38名は,ロボット寸劇の見学後に認知症の基礎知識を学び,認知症者への声かけを考えた.各グループが考えた内容はPepperにフィードバックした.講座でのロボット活用の効果は,講座前後の無記名式質問紙調査票,グループワーク内容から分析した.結果・考察:小学生からは,講座前33名(86.8%),講座後34名(89.5%)の質問紙調査票が提出された.講座前後で変化した項目は,「認知症は誰でもなる病気」(p<0.001),「なれた人やものがあると家で暮らせる」(p<0.001),「認知症の人への声のかけ方を知っている」(p<0.05)であった.グループワークでは,6グループ中5グループで「大丈夫ですか,一緒に猫を探しましょう」など適切な声かけができていた.しかし,1グループの声かけは認知症者の尊厳を傷つける可能性があった.自由記述では,一部の小学生から「Pepperの話す内容がわからなかった」との声が聞かれた.結論:本研究では,小学生が認知症を学ぶ講座で人型ロボットを活用し,多くの小学生が認知症者の尊厳を保つ対応方法を学んでいた.今後,地域・学校関係者からの意見を参考に寸劇内容を見直し,会話機能の高い人型ロボットの検討を行う.