[3-F-2] How should hospital information systems be constructed for patient safety?
医療は益々高機能化し、多くの医療スタッフが関わる必要があり、複雑化しており、その分、インシデント・アクシデントが起こるリスクが高まっている。一方、病院情報システムが病院に広く普及し、多くの業務にシステムが関わるようになってきた。このシステムを工夫することで、インシデント・アクシデントの防止に有効となる可能性がある。平成30年度より厚労科研「医療安全に資する病院情報システムの機能を普及させるための施策に関する研究」の研究班を立ち上げ、この課題に取り組んできた。最初に取り組んだ課題は、画像レポート見落とし防止対策についてであった。問題が起こる原因、有効な対策、その対策を実施する上で必要はシステムの機能をとりまとめ、仕様書とその解説書の形でまとめた。この内容は、令和元年12月に、厚労省の事務連絡として通知された。その後、各システムベンダーがこの機能をパッケージソフトに組み込んでいるのかを調査した。また、これらの機能を持つシステムを導入した病院で、この課題についての状況を調べた。次に、薬剤投与に関わるインシデント・アクシデントの対策機能について取り組んだ。薬剤投与に関わるインシデント・アクシデントを類型化し、それぞれについて、どのようなシステムの機能があれば、その防止に有効であるかを検討し、その機能をリスト化し、システム種で整理してまとめる作業を行った。最後に、こうしたシステム機能を各病院が病院情報システムに組み入れ、インシデント・アクシデントの防止に有効に活用するようになるために、どのような施策が有効かを検討した。 本シンポジウムでは、この研究班で取り組んできたことを、各分担研究者から報告し、会場の参加者と、この課題について議論をしたい。