一般社団法人 日本医療情報学会

[3-G-1-08] ランキング学習アルゴリズムによる診断支援システム
  - 医師の鑑別診断プロセスと機械学習との融合 -

*宮地 康彦2、鳥越 惠治郎1、石井 修2 (1. 医療法人恵真会 鳥越医院, 2. 臨床推論実用化研究会)

Computer-Aided Decision Support System, Diagnosis Reminder, Clinical Problem-Solving, Machine Learning, Learning to Rank

患者の自他覚症状・理学的所見・臨床検査結果・画像検査結果等からから順位付き疾患リストを提示する診断支援システムを開発した。
主な目的は、内科医、総合診療医の臨床推論の支援である。
医師の臨床推論のプロセスは、SOAP(Subjective → Objective → Assessment → Plan)の繰り返しにより、鑑別疾患をリストアップし、最終的に確定疾患を絞り込む。
これまで提案されている診断支援システムの症例データベースは、教科書、症例報告の要旨等の最終的な症状・所見等と確定疾患のみを登録して構築している。また、疾患リストを提示するアルゴリズムは、ベイジアンネットワークでの確率計算、機械学習(分類、回帰)等である。
しかし、従来の手法では、入力する症状・所見等と症例データベースの症状・所見との相関性が高くないと、的確な推論結果は得られない。さらに、従来の手法は、確定疾患のみを対象としており、鑑別疾患のリストは、推論に活用されていない。
筆者らは、これらの問題を解決するために、機械学習の1つであるランキング学習(Learning to Rank; LTR)アルゴリズムによる診断支援システムを開発した。本診断支援システムによる推論結果は、従来の手法と比較して、高い評価結果を得た。
筆者らは、「ランキング学習アルゴリズムによる推論は、SOAP、Clinical Problem-Solving等、医師の鑑別診断プロセスとの親和性が高い」と考えている。