Japan Association for Medical Informatics

[3-G-2-02] 市販VR機器を用いた非対面型医療訓練システムの検討と試作

*Kentaro Miyaji1, Naoki Mihara2, Takeshi Tanaka2 (1. 広島大学 医学部 医学科, 2. 広島大学病院 医療情報部)

Virtual Reality, Endoscope, Medical Student Education

【背景】COVID-19感染拡大が続く昨今、医学教育現場では対面によるリスクを負うことなく医療技術を習得できる遠隔実習環境の整備が求められている。Virtual Reality(VR)技術を用いた医療訓練用シミュレータは既に一部施設にて運用されているが、費用や機材規模の問題から配備施設数・一施設の配備台数共に少なく、十分な非対面学習機会を遍く提供するものではない。そこで、個人レベルでの所有・運用が可能な低価格性と汎用性を持つ、個人向け医療訓練用VRシミュレータ(Personal Virtual Medical Training Simulator、以後PVMTS)の普及が必要であると考えた。 【目的】本研究の目的は、特定の臨床分野を再現するVRプログラムの試作・運用により、PVMTSの学習教材としての有用性を評価することである。 【方法】狭い住宅空間でもRealityの高い動作再現が可能であり、入力デバイスとして既製品流用が容易との観点から、上部消化管内視鏡検査をシミュレーションテーマとして選択した。汎用性確保の為、高性能PCが不要なスタンドアロン型VR Head Mounted Display上での運用を前提とした開発を行い、初歩的な内視鏡検査を体験できるPVMTSを用意した。これを用い、医学部生を対象とする学習効果調査を実施。PVMTS利用群と非利用群それぞれの学習前後で基本的な内視鏡検査手順を問う選択式テストを行い、習熟度の差異を比較・評価した。 【結果】基礎的な検査過程を把握させる初学者向け教材として、PVMTSは有意義である。 今後はPVMTSを各分野の研修医・専攻医等が臨床現場参加直前の自己学習に用いられる実践的教材へ発展させることを目標とし、システム開発専門企業との連携を進めて行きたい。