Japan Association for Medical Informatics

[3-G-2-03] 救急及び集中治療の診療の現場におけるVRシステム活用の可能性

*Takunori Sato1, Kengo Miyo2, Masamichi Ishii2, Hiroyuki Hoshimoto2, Hironori Ishiwari2, Keiko Suganuma2, Takafumi Yoshida3, Hiromasa Wakui3 (1. 国立国際医療研究センター 国府台病院/医療情報基盤センター, 2. 国立国際医療研究センター 医療情報基盤センター, 3. 日本電気株式会社)

Virtual Reality, Utilization of VR, Emergency Department, Intensive Care

VR(Virtual Reality)技術は、手術アシストや医療教育、遠隔医療などの医療の現場でも活用の場を拡大させつつある。当施設では、救急や集中治療の診療の現場でVRシステムを活用することにより、どのようなメリットを享受することが可能となるか、その可能性を検討した。今回、患者基本情報や電子カルテ、生体モニター、検査結果、画像検査といった複数のパネルをVR空間上に表示させ、患者の状態をいち早く把握しえるVRシステムを日本電気株式会社と共同で試作した。医療従事者はVRヘッドセットを装着することで、患者のベッドサイドで瞬時に多くの情報を把握することが可能となる。また、ヘッドセット装着者の見ている目線で装着者の見ている情報を別モニターで見ることも可能である。このようなシステムを用いることで、現場にいない医療従事者とのコミュニケーションの質が向上し、より早期に、より的確な治療方針を決定できうるのではないかと考える。看護師と医師との連携や研修医・専攻医と上級医や専門治療が必要な場合には専門診療科の医師との連携にとどまらず、救急隊と病院間の連携やスタッフ数の多くない中小病院と大学病院や中核病院の病院間の連携にも役立てられ、SARS-CoV-2のように隔離を要する新たな感染症の流行時の診療などにも非常に有用であることは想像に難くない。また、コミュニケーションの質の向上が勤務時間・拘束時間の減少にもつながる可能性があり、働き方改革や経営面にも有用となる可能性が考えられる。救急や集中治療の診療の現場でもVRシステムを活用することにより、医療安全を含む患者診療の質の向上にとどまらず、経営の向上にも寄与する可能性も考えられ、さらなるシステムの開発・進化や活用法の発展・深化への取り組みが望まれる。