一般社団法人 日本医療情報学会

[3-G-2-05] VNAを用いた遠隔画像参照システム開発と有用性

*玉本 哲郎1,2、森田 周作1,3、石田 幸敏1,4、西川 哲也1,4 (1. 奈良県立医科大学附属病院 医療情報部, 2. 奈良県立医科大学 放射線腫瘍医学講座, 3. 奈良県立医科大学附属病院 中央放射線部, 4. 奈良県立医科大学 情報推進室)

Vender Neutral Archive, Remote Viewing, Mobile Device

【目的】当院では2019年5月に病院情報システムの更新し、診療記録の統合管理のためにVender Neutral Archive (VNA)を導入した。これにより、放射線画像の管理が主であったPicture Archiving and Communication Systemsの機能以外に院内の文書記録、部門システムからの診療記録も、電子カルテシステムとは別に管理ができるようになった。今回、院外遠隔画像参照システムをVNAで構築し、実際のシステムの利用シーンや有用性について検討した。【方法】当院のVNAは診療記録を1画面ビューワーとして表示可能で、Type 1としてノートパソコン上で院内での環境で画面表示をしたもの+チャット機能、Type 2としてiPhone上で放射線などのDICOM画像+チャット機能の2種類を用意した。遠隔端末との接続はSIMカードを用いた通信キャリアの閉域網の通信とし、端末内に参照患者のデータが残らず、さらに参照できる患者はVNAで限定できる仕様とした。2020年12月より臨床利用を開始し、現在脳卒中センターなどの救急部門で利用している。現在の利用者に対して利用状況と有用性についてヒアリングを行った。【結果】現状のニーズは、カルテ記事を参照できない仕様であり、もっぱら救急搬送など対応時の上級医の画像確認とコメントのチャット入力が優先される利用が多かった。患者の検体検査の結果や生理検査の結果、取り込まれた診療情報提供書などの参照についての要望は救急部門ではほとんどなかった。【結論】VNAを用いた院外画像参照システムの構築と診療での利用を行った。さらに利用を進めるためには、現状の画像確認のみの利用方法以外にも、カルテ記事などの重要な診療記録の参照や公開期間の延長などの新たな利用方法の検討、さらに救急部門以外のユーザーに対する周知が必要であると考えられた。