Japan Association for Medical Informatics

[3-G-2-06] 大分県遠隔画像伝送システムの成果と更新について
-クラウド統合型救急支援システムの構築-

*Tsuyoshi Shimomura1,2, Keisuke Ishii2,3, Nakashima Tatsunori2, Yufu Kunio4, Kyoko Kawano4 (1. 大分大学医学部附属病院医療情報部, 2. 大分大学医学部附属病院災害対策室, 3. 大分大学医学部附属病院高度救命救急センター, 4. 大分大学医学部医学部附属病院循環器内科)

remote image transmission system, mobile cloud electrocardiography, GPS Vehicle Tracking system

大分県遠隔画像伝送システムは、地域医療再生基金を活用して2014年7月より運用を開始した。本システムは、救急車内の映像を伝送する映像伝送システム、救急車位置情報とIP無線を提供する高精細動態管理システム(モバロケ)で構成され、2017年7月より地域医療介護総合確保基金を用いてクラウド型12誘導心電図伝送システム(クラウド心電図)を追加導入した。2021年6月現在、4救命救急センター、12消防本部(14消防本部中)、救急車52台、ドクターカー3台が参加し、15病院がクラウド心電図閲覧に限定して参加をしている。映像伝送システムとモバロケについては、導入後14ヶ月間で414件の伝送を行いその有用性を検証した。クラウド心電図伝送おいては、2021年2月までに693件の伝送を行い、door-to-balloon timeや来院から血管造影室到着までの時間の短縮効果だけではなく、不必要な遠隔地への搬送回避も実証した。
初期導入より7年が経ちサーバや送信端末の耐用年数が過ぎていることから、地域医療介護総合確保金を利用して、サーバの性能不足を解決し完全なクラウド化を図るシステム更新を行うこととした。そのコンセプトとしては、3つのシステムの連携強化を行い同一アプリ内での閲覧ができること、サーバ処理能力強化による同時閲覧数増加とした。これにより、すべての消防本部参加やクラウド心電図閲覧施設の全システムへの正式参加を実現し、合わせて災害拠点病院や地域中核病院の参加も可能となった。導入費1/3自己負担で2021年度から2ヶ年で整備することとなり、システム構築費は4救命救急センター負担で送受信装置は当該施設負担とした。月額使用料については補助対象外で病院と消防本部で按分して負担する条件で、現時点で、大分県下の全消防本部と23病院が参加を表明している。システムの導入から更新への経緯と戦略について報告する。