[3-H-1-02] HL7 FHIR導入の院内実装および地域連携における課題
HL7 FHIR, Interoperability, Regional Medical Cooperation
医療情報の施設内外における連携を考慮する場合,連携されたデータの確実な交換は重要な要素である.一方で,日々更新される情報の連携やその二次利用について考慮する必要がある.HL7 FHIRはその名に相互運用性(interoperability)を含む様に情報の活用に優れた規格であるが,既に構築されたシステムとの連携においては,情報のマッピングや連携のタイミング,情報更新時の取り扱いなど配慮すべき点がある.また,HL7 FHIRではREST APIを用いることが前提として設計されているため,例えばDICOMにおけるDIMSEでのメッセージングからのコンバージョンあるいはDICOM webに対応するサーバの導入の様にREST APIに対応する仕組みの構築にも注意が必要である.われわれは院内における情報統合に先行着手し情報連携環境を構築してきたが,現在,施設外にある既存の地域医療情報連携システムとの相互接続について検討を進めているところである.この過程で,院内システムの情報統合と二次利用のためのFHIRの実装より,既存の外部連携システムとの仕様策定においていくつかの課題が見いだされた.院内システムからの連携においては統合情報基盤を経由し,外側に連携インターフェースを置くことで院内のセキュリティを担保しつつ実装するモデルを策定した.一方ですべての情報をFHIRで連携するにはFHIRサーバの実装が相互に必要となり,既存システム側で情報マッピングを網羅的に行うには負荷が大きいことが懸念点として挙げられている.この点を考慮し,内部ではFHIRサーバの実装を進めつつ,既存の地域医療情報連携システム側からの問い合わせに対してのみFHIRのREST APIで連携し,DICOMなど既存の情報交換規格とのハイブリッド方式での構築を検討している.