Japan Association for Medical Informatics

[3-H-2-01] IoT屋内位置測位技術を活用した手指衛生モニタリング

*Keiko Yamashita1, Shintaro Oyama1, Yuji Sakamoto2, Hiroshi Tomozawa3, Yoshinori Ideno2, Satoshi Yamashita1, Yoshimune Shiratori1 (1. 名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター, 2. 株式会社ケアコム, 3. サトーヘルスケア株式会社)

Internet of Things, hand hygiene, Bluetooth Low Energy

【はじめに】医療現場での感染防止には手指衛生が重要であり、WHOは患者ケアにおいて手指衛生が必要なタイミングを整理し、院内感染予防に成果を上げてきた。代表的なモニタリング法は直接観察法と手指消毒剤使用量計量法だが、時間と労力がかかることが問題点とされている。以前我々はInternet of Things(以下、IoT)デバイスを用いた手指衛生モニタリングは使用量計量法の代替となりうるという報告を行ったが、直接観察法を代替するに至らなかった。本研究では直接観察法のスクリーニングとなりうるか、また各施設で適応する際の妥当性検証の手法確立について検討した。 【方法】対象者は個人用手指消毒剤のポンプ部分に、押下時に位置情報発信用のBluetooth Low Energyセンサーポンプタグを装着した。手指衛生実施時に押下したポンプタグ信号は最寄りのアンテナに検知され、位置情報・ポンプID・検知時間がサーバへ送られ、位置情報と検知時間より対象者のポンプIDを照会し、手指衛生を行った場所・時間別に検出した。データ取得は2021年1月から3月の各月1週間毎、病棟看護師10名を対象に行った。 【結果】直接観察法で必要なタイミング別での手指衛生実施を定義した手指衛生実施率の割合は、入室前30秒以内32.6%、ベッドエリア内66.0%、退室後30秒以内1.4%であった。また、ベッドエリア間移動での実施率は16.9%であった。 【考察】直接観察法では対象者を特定することは難しいが、IoT手指衛生モニタリング手法は、ポンプセンサー毎での訪室回数と各タイミング別での手指衛生実施状況を定常的に観察することができ、効果的な手指衛生実施の向上に役立つものと考えられる。また、感染の水平伝播抑止に有効で感染対策にも寄与する可能性もあり、従来のモニタリング法である直接観察法のスクリーニングの一つとなり得ると考えられる。