[3-H-2-06] 介護職員処遇改善加算情報を用いた介護事業所の経営分析
care worker, career path, career development program
【目的】本研究の目的は、介護職員処遇改善加算(キャリア加算)情報を用いて職員のキャリアパスを考慮することが、介護事業所の経営にプラスの効果をもたらすか否かを明らかにすることである。 【方法】本研究では、2021年3月に宮城県内デイサービスとデイケア540事業所と職員に対し、質問紙・インターネットを使用したアンケート調査を実施した。これまでに分析可能となった事業所データ50例について分析を行った。分析可能となった事業所を、介護職員処遇改善加算Ⅰ及びⅡ(キャリア加算導入積極群)と、ⅢからⅤ及び「算定していない」(その他の群)の2つの群に分類した(キャリア加算積極導入指標)。経営の指標として、加算導入前後の離職者数の差(加算導入後の離職者数-加算導入前の離職者数)を用いた。また、主観的な指標として、「全般的な経営がうまくいっているか」、及び「人材活用がうまくいっているか」についての項目を用いた。これらの経営指標をキャリア加算積極導入指標とクロス分析と検定を行った。統計的有意差については5%水準とし、10%水準を有意傾向とした。 【結果】「全般的な経営はうまくいっているか」に対して「うまくいっている」という回答の割合は、加算導入積極群は69.2%、その他群は63.6%であった(p=0.728)。「人材活用はうまくいっているか」に対して「うまくいっている」という回答の割合は、加算導入積極群は、76.9%、その他群は、72.7%であった(p=0.528)。加算導入前後の離職者数の差の平均値(標準偏差)は、加算導入積極群で-0.53(2.10)、その他群で0.50(0.58)であった(p=0.090)。 【結論】介護離職者数における加算導入前後変化に対してのみ統計的有意な傾向が見られた。全体的な経営と人材活用については、今後サンプル数を増やして再検証が必要である。