Japan Association for Medical Informatics

[3-H-3-02] 「電子カルテと医療安全」をテーマとしたASUISHI/CQSOハブセンター研究会アンケート調査の結果と考察

*Daisuke Koike Koike1,2 (1. Fujita Health University Bantane Hospital, Gastroenterological Surgery, 2. Nagoya University Hospital ASUISHI/CQSO Project)

現状の電子カルテは質や安全の面で課題を持っており、臨床現場では多くの問題が日々発生している。実臨床に発生する医療安全問題に取り組む立場から電子カルテの現状と問題点を把握するために「電子カルテと医療安全」をテーマにASUISHI/CQSOハブセンター研究会を企画・実施した。本発表では、研究会で実施したアンケート調査の結果を共有し、現状の医療安全と電子カルテの間にある問題点について考察する。 結果:特定機能病院を含む44施設から有効回答を得た。回答施設の多くは中~大規模病院であった。電子カルテの管理部署は、副院長・最高責任会議の委員が14%の施設に配置されていたが、単独部署の管理職クラスの職員が約半数を占めた。電子カルテ関連の委員会委員長は30%強では副院長以上が担っているが、教授・部長クラスが約半数であった。 質安全管理と電子カルテ改訂に関して、質安全管理部門が意見する場があるか、多部門にわたる課題や要望を統合する仕組みがあるか、臨床現場の課題とシステム仕様をすり合わせる人材がいるか、の3つの設問を用意した。大部分の施設がすべてに「はい」と回答したが、ASUISHI/CQSO医師は電子カルテに関連する多くの問題を経験していた。 考察:院内の情報管理体制は安全管理体制と比較すると施設の最高意思決定者との関連が弱かった。質・安全管理を担う立場から見ると、臨床現場と電子カルテの連携は不十分で、認識のギャップが存在すると推察される。アンケート結果からは、電子カルテに関しては、大きく2つのギャップが示唆された。1つは質安全管理部門・臨床現場・情報管理部門などの間にある院内ギャップである。2つ目は病院とベンダーの間にあるギャップである。 導出されたギャップを埋め、問題を解決するために、関係者・関係部署・関係機関/団体が共通の協働目標=あるべき姿を定め、ワンチームとなることが必要で、安全管理と同様に質管理手法の活用・応用が有効・可能と考えられた。