Japan Association for Medical Informatics

[3-H-3-04] 亀田総合病院での取り組み、プロセス管理

*Koichi Miyakoshi1 (1. Department of Rehabilitation Medicine, Kameda General Hospital)

当院では1995年に院内にて電子カルテを開発し、医療現場に導入した。その後もアップデートを繰り返しつつ運用してきた。2019年には市販の電子カルテに変更し、電子カルテ内の情報の活用を進めている。医療の質・安全管理、効率的運営の視点からも、電子カルテの情報を活用することは重要となる。
医療のシステムは、ストラクチャー、プロセス、アウトカムという3つの側面で考えることができる。ストラクチャーは医療提供の構造であり、組織・体制、職員構成、設備などである。電子カルテの導入やアップデート、データ蓄積の仕組みはこの部分に該当する。プロセスは診療や病院運営の過程であり、望ましいアウトカムをもたらす可能性が高い作業が現場で行われているかどうか、ということである。アウトカムはこれらの活動の結果であり、治療成績や病院運営の成績となる。よりよいアウトカムを得るためには、ストラクチャーとプロセスが良好に機能する必要がある。医療機関において、プロセスの大部分は人間が作り出すものであり、ばらつきが生じやすい部分である。安定したアウトカムを得るためには、プロセス管理が重要となる。
当院では第三者評価を積極的に取り入れている。2000年にISO9001認証を取得し、2009年には日本初のJoint Commission International(JCI)認証を受けている。これらの審査では、プロセスの文書化、現場での運用状況のモニタリング、継続的改善の取り組みが評価される。
近年の電子カルテは、医療データの蓄積や出力が容易となっている。データの蓄積や解析によってPDCAサイクルをまわし、医療の質・安全管理、効率的運営を推進することに貢献できるはずである。しかし、電子カルテを使用し、これにデータ入力をするのは人間であり、作業にはばらつきが生じるリスクがある。電子カルテの情報を有効に活用するためには、質の高いデータを漏れなく入力する仕組みが必要であり、現場での適切なプロセス管理が求められる。