一般社団法人 日本医療情報学会

[3-I-1-02] 放射線検査における線量情報管理 〜出来ること,出来ないこと,今後すべきこと〜
「放射線治療領域の現状と課題」

*松田 恵雄1 (1. 埼玉医科大学国際医療センター)

2020年4月1日に施行された医療法施行規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第21号)により、保有する装置(厚生労働大臣の定める放射線診療に用いる医療機器)により,医療被ばくの線量管理・線量記録が義務付けられた。抄録作成段階で、この規定に基づき放射線診療に用いる医療機器に、放射線治療に必要な「照射装置」等は含まれていないが、一部には治療計画用として、「全身用X線CT診断装置」を用いることから、放射線治療領域であっても、線量管理に無関係という訳にはいかないのが現状である。 そもそも、放射線治療領域で、治療として行われる「照射」自体については、厳密な治療計画に基づき、個々の照射に対する医師の方針や処方線量(被ばく量)が明確に示されている。 一方、「照射を正確に行うため」に必要な、「いわゆる照射以外の」放射線利用については、全体整合的に、診断領域の線量管理や線量記録となんら変わらない枠組みとも考えられるが、放射線治療の最適化に必要な個々の被ばく管理が、個別に議論されることはあまりなかった。 当院でも現在は、治療計画用に得られたCT時画像とRDSRを放射線部門の統合線量管理システムへ送信し、他の診断用モダリティと共に統合管理することで、診断CTとの線量比較や診断参考レベルを考慮した検討が可能となった。 これをきっかけに、部門内で治療計画用CT撮影時の線量最適化が議論されるようにもなり、線量の低減に対する工夫も生まれているものの、そもそも撮影目的自体が診断領域とは異なることから、一概に比較対象とならないケースも多く、対応に苦慮している。 ワークショップでは、放射線治療領域の現状と、今後の展望について、現状の整理を行うことで問題提起としたい。