一般社団法人 日本医療情報学会

[3-I-1-03] 臨床における線量情報管理の諸問題

*上野 登喜生1 (1. 福岡大学病院)

2019年3月11日に医療法施行規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第21号)が公布され,医療被ばく情報の管理が義務化された。 線量管理に関しては、施設における様々な放射線検査の線量管理と過剰被ばく対応を含む個人被ばく線量管理の2つが大きな柱となっている。
放射線検査線量の最適化はDRLプロセスを用いて実施される。線量指標はJapanDRLsによってモダリティごとに示され、2020年には最新版が提示された。医療放射線被ばく管理統合プロファイルに基づいた線量収集が、DICOM-RDSRの普及とともに可能となってきており、施設は線量情報を効率的に収集し、DRLプロセスを用いて最適化を行うことが可能な環境が整いつつある。
一方、過剰被ばく対応を含む個人被ばく線量管理については、算出過程と算出された数値の取り扱いに未だ多くの問題点を抱えている状況となっている。 CTでは実効線量や臓器線量、IVRでは最大皮膚線量を算出するシステムの普及が進んでいるが、推定されたそれらの数値をどのように取り扱うべきかについては、各施設の判断に委ねられている。
また、医療法改正では放射線検査の安全を図る目的に、検査を依頼する医師や関係職員に対する教育についても義務化されているが、「線量情報の共有」に関する問題も実務上多く発生している。
本ワークショップにおいては、これら施設における実務上の諸問題として、線量管理と多職種間の「線量情報の共有」に存在する問題点について提示させて頂く。