[3-P-1-03] 慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者における低侵襲・高精度な肺動脈平均圧の予測モデル作成
Machine Learning, Regression, Right Heart Catheterization, CTEPH, Mean Pulmonary Artery Pressure
【背景・目的】慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の診断には右心カテーテル検査による肺動脈平均圧(mPAP)の測定が必要であり、予後予測にも用いられている。右心カテーテル検査は侵襲度が高いため、昨今は心エコー検査における三尖弁圧較差(TRPG)による推定値を用いて経過観察されている例もある。本研究では心エコー検査以外の低侵襲検査を加えることで、mPAPを低侵襲かつ高精度に予測できるモデルの作成を試みた。 【方法】神戸大学医学部附属病院にて、2005年4月 から2020年1月 の間で、mPAPを測定したCTEPH患者のデータ(167症例)のmPAPについて後方視的に検討した。低侵襲に得られる対象患者の年齢・性別・血液検査所見(BNP値)・心エコー検査所見(TRPG)・胸部レントゲン検査所見(心胸郭比・右第2弓比・無血管野の有無)の計7項目を使用することとし、内部で勾配ブースティング決定木を使用するLightGBMを用いてモデルを作成した。対照群として、上記7項目を用いた重回帰モデル、TRPGのみを用いた単回帰モデルを作成し、予測精度を比較した。データは訓練用(80 %)、評価用(20 %)に分割し、mPAPの予測性能の評価には評価用データに対する決定係数を用いた。 【結果】作成したモデルのmPAP予測性能(決定係数)は、TRPGのみを用いた単回帰モデルではそれぞれ0.288であった。TRPGを含む7項目を用いた重回帰モデルでは0.429であった。さらに、LightGBMモデルでは0.516であった。 【結論】CTEPH患者のmPAPの予測モデルに関して、TRPG以外の低侵襲検査を加えることで、より高精度に予測可能なモデルの作成を行うことができた。さらに、症例データを元にした新たな説明変数の作成、またLightGBMを用いることで、さらなる精度の向上を実現することができた。