Japan Association for Medical Informatics

[3-P-3-04] 北海道における市町村の特定健診受診率に寄与する要因の正準判別分析を用いた検討

*Shojiro Yamasaki1, Yasuhiro Morii1, Yoshikazu Ichimura2, Tatsuya Honma2, Wataru Shibayama3, Nozomi Shiina4, Jun Nakaya5, Katsuhiko Ogasawara1 (1. 北海道大学大学院保健科学研究院, 2. 凸版印刷株式会社東日本事業本部北海道事業部, 3. 凸版印刷株式会社事業開発本部ヘルスケア事業開発センター, 4. 北海道大学産学地域協働推進機構, 5. 北海道大学大学院医学研究院)

Specific health checkups, participation rate, canonical discriminant analysis

【背景・目的】生活習慣病予防を目的として2008年より実施されている特定健康診査(特定健診)に関して、自治体の運営する国民健康保険は他の健康保険よりも加入者の受診率が低い状態にある。本研究では自治体の社会的要因に着目し、2010年度と2015年度における特定健診受診率の関連要因について正準判別分析によって検討した。
【方法】北海道内の全自治体(179市町村)を対象として各自治体がインターネット上に公開している情報から2010年度は90市町村、2015年度は179市町村の特定健診受診率の値を収集した。人口動態、産業構造、医療資源、保健資源、経済及び社会因子に関する20項目のパラメータを各年度の国勢調査等の公開データから収集した。各年度の自治体を特定健診受診率によって3群(高:第3四分位点以上、低:第1四分位点以下、中:第1四分位点以上第3四分位点以下)に分類した後、パラメータについて①3群で分散分析(Kruskal-Wallis検定)の実施②受診率分類について正準判別分析の実施③標準化判別係数から判別に関与する変数とその重要度の検討をした。統計解析にはJMP Pro 15を用いた。
【結果・考察】①3群間の分散分析の結果、2010年度では9項目、2015年度では15項目に有意差が認められた(有意水準p<0.05)。②有意差の認められたパラメータを説明変数として正準判別分析で各群の予測を行った結果、各年度それぞれ2つの関係式が得られ、これらの関係式による群の判別精度は両年度とも66%だった。③算出された標準化判別係数から、特定健診受診率に対して保健師数が上昇要因、漁業従事者割合及び独居高齢者割合が下降要因として影響が大きいことが示唆された。また2015年には2010年と比べて受診率に対する自治体の経常収支比率や住民の所得、保健師の活動の影響が大きくなったと考えられた。