Japan Association for Medical Informatics

[3-P-3-05] 自治体による健康ポイント事業の効果検証および事業評価方法の検討:傾向スコアマッチングによる介護レセプト分析

*Teppei Suzuki1,4, Kensuke Fujiwara2,4, Wataru Nagai3, Takeshi Aoyama3, Hisashi Enomoto3, Shuntaro Nakata3, Katsuhiko Ogasawara4 (1. 北海道教育大学岩見沢校芸術・スポーツビジネス専攻, 2. 小樽商科大学大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻, 3. 岩見沢市健康福祉部健康づくり推進課, 4. 北海道大学大学院保健科学研究院)

Health Informatics, Medical Cost, Care Cost, Health Point

【背景と目的】自治体による健康ポイント事業は、その効果に関する調査や研究報告は少なく、各自治体が事業評価を行うことも難しい。本研究では、自治体が行った健康ポイント事業の効果を明らかにすることを目的として、事業の効果検証、評価方法について検討する。【方法】北海道岩見沢市のKDBシステムから抽出した平成28年度から令和元年度の医療・介護レセプトデータと、健康ポイント参加状況等が記録されている健康情報データベースを連携させ、応答変数を介護費抑制効果、処置変数を健康ポイント事業参加の有無、共変量を性別と平成28年度の年齢・介護給付費・介護度・医療合計点数(医科、歯科)・他健康事業への参加の有無とした、最近傍マッチングによる傾向スコアマッチングを行い、事業参加の有無による介護費抑制効果の比較を行った。【結果】健康ポイント事業参加者119人(3.8%)と非参加者3,039人(96.2%)が分析対象として抽出され、事業参加者で介護費抑制効果が見られる人は47人(39.5%)、非参加者で介護費抑制効果が見られた人は866人(28.5%)となり、健康ポイント事業参加の有無で有意に差が見られた(p=0.01)。傾向スコアによるマッチングの結果、119のペアが設定され、非参加者で介護費抑制効果が見られた人は1,097人(36.1%)となり、McNemar検定を行ったところ有意差は見られなかった。傾向スコアを用いた層別解析を行った結果、事業参加の有無で有意差は見られなかった。 【考察】健康ポイント事業参加の効果は、単純集計では差が見られていたが、本手法により有意な差は見られなくなったことから、共変量の適切な選択が事業効果を評価する上で重要になると思われる。本手法は、健康ポイント事業に参加していない地域住民と比較した分析が可能となり、適切な事業評価を行う上で有用であると考えられる。