Japan Association for Medical Informatics

[3-Q-1-04] マーカーレス拡張現実を用いた仮想X線透視アプリケーションの開発

*Takayoshi Terashita1, Kaito Oikawa1, Hayate Ozawa1, Tetsuo Sato1, Toshihiro Ogura1 (1. 群馬県立県民健康科学大学)

markerless augmented reality, virtual fluoroscopy, medical education

目的:昨今、医療ニーズの増大やチーム医療の推進によるタスクシフトなど、医療従事者に求められる役割は変化している。医療従事者の質向上のため、これを志す学生にも現場で最低限実施できる技能の修得が求められている。一方、X線撮影は高度かつ専門的であり、習得するには多くの経験が必要である。しかし、ライセンスの無い学生は人体照射ができないため、実践的な技能を習得するには不十分である。現状ではファントムを利用したX線撮影、または学生同士で体位や手順を確認するX線照射を行わない実習に限局されている。もし被写体の体位に応じたX線像を仮想的に得ることができれば、実践的な学習を行うことが可能となる。そこで我々は被写体の体位に応じて仮想的にX線透視像を出力するソフトウェアを開発したので報告する。 方法:本研究では、学生同士が診療放射線技師役、患者役に分かれて、X線撮影のポジショニング練習を行うことを想定した。まず光学カメラにより、被写体の撮影対象を含む画像を取得する。次に特徴点検出アルゴリズムを使用し、カメラ画像の座標から、体位に応じたロール、ピッチ、ヨーを算出する。最後に、事前にCTで撮影したX線撮影用人体ファントムのデータに対して角度を与え、総和値投影法による仮想X線像を連続的にモニターに出力する。開発はPython 3.8.5、特徴点検出アルゴリズムはgoogle社MediaPipe 0.8.3.1を使用した。 結果・考察:本ソフトウェアにおいて、被写体の体位をリアルタイムに反映した仮想X線像を得ることが可能となった。これにより、X線照射をしなくても実践的な実習を行うことができる。本ソフトウェアの応用範囲は広く、診療放射線技師以外の医療従事者(リハビリテーションなど)の学習にも利用が期待できる。今後の課題として、仮想X線像の精度の検証、及び本ソフトウェアを用いた教育効果の調査が必要である。